山口地方裁判所 昭和57年(わ)16号 判決 1983年3月16日
本籍
山口県熊毛郡田布施町大字宿井五九八番地
住居
柳井市大字柳井津四九九番地
呉服小売業
田熊秀夫
昭和一七年七月二二日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上野富司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役八月および罰金八〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、山口県柳井市大字柳井津四九九番地において呉服小売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て
第一 昭和五三年分の所得金額は二二、九七二、三九九円でこれに対する所得税額は八、〇七〇、七〇〇円であったにもかかわらず、公表計理上売上の一部を除外し、あるいはたな卸の一部を除外する等の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五四年三月一日柳井市大字柳井字尾の上三七四五番地の一所在の柳井税務署において、同税務所長に対し、右年分の所得金額は二、六一二、〇一三円で、これに対する所得税額は一二一、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税七、九四九、五〇〇円を免れ、
第二 同五四年分の所得金額は二二、三一八、〇七六円でこれに対する所得税額は七、六六五、三〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五五年三月一五日前記柳井税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は四、八〇二、九二六円で、これに対する所得税額は四六六、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税七、一九八、七〇〇円を免れ、
第三 同五五年分の所得金額は二七、〇六〇、五〇七円で、これに対する所得税額は一〇、二三五、五〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五六年三月一四日前記柳井税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は二、五一二、五三一円で、これに対する所得税額は九一、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税一〇、一四四、三〇〇円を免れ、
たものであ。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告人の当判廷における供述
一 被告人の検察官および大蔵事務官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の昭和五八年二月一四日付脱税額計算書(三通)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書(一〇通)
一 柳井税務署長作成の青色申告の承認取消し通知書(謄本)
一 検察官および弁護人作成の合意書
一 大蔵事務官作成の告発書
一 押収してある確定申告書綴(昭和五七年押第二九号の一)四綴
(法令の適用)
判示各所為 昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項、二項(いずれも懲役刑と罰金刑を併科)
併合罰加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)(懲役刑につき)、同法四八条二項(罰金刑につき)
労役場留置 同法一八条
執行猶予 同法二五条一項
(裁判官 七澤章)